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2012年02月

抽象化思考の罠 ー正しい思考法を養うためのオススメ本ー

  
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以前からこの種のエントリーを書きたいと思っていたのだが、なかなか書けないでいた。 その理由として、僕自身ある事象に対して向き合うときに抽象化すべきか具体化すべきか、はたまたどちらとも取り入れるべきか、取り入れるときのバランスはどうしたらいいのかと、色々悩んでいたからである。例えば、自己啓発本はある成功者の習慣をピックアップして、この習慣を身につければ成功できるといったことを書いて売りにしている。これはどちらかというと抽象化の行為である。

もちろん演繹法・帰納法という全く反対からのアプローチ法が両方確立しているように、どちらも蔑ろに出来ないのは確かである。ただ、今の世の中を僕なりに見る限りあまりにも「抽象化」することが多いように思えてきた。 それと同時に物事を個別に分析する手間を怠っていることで、全体の空気として正しいと思われていることが、突き詰めれば間違っていたり論理の飛躍だったりすることが多々あるのではないだろうか。

なぜ抽象化することが多いのかというと、それは単純に考えるのが”楽”だからである。「Appleはデザインから機能にいたるまで無駄を極力排除した革新的なガジェットを創りだしたから世界一の企業になった」というのは正しい。しかしこの抽象的な事実がどの企業に当てはめてもうまくいくものではないし、あまりにも漠然としている。

世界的にベストセラーになった本に「ビジョナリー・カンパニー」という本がある。 この本は、世界的に成功した企業がどのようなビジョンを持って事業を行っていったのかという法則性をいくつかの企業例を用いながら説明していくものである。もちろんこの本の筆者は本書で書かれたいる何倍もの企業を研究し、そして分析した結果を抽象化して書かれているのだが、この本を読む私たちにはその事は分からない。 単純に本書をありがたがって、これで成功企業の傾向が分かると思ったら大間違いである。

抽象化の罠に陥らないようにするためには”自分で考える”・”数値に基づく”といった方法が不可欠である。どちらも慣れてない人にとってみればすごくめんどくさい行為であるが、抽象化の罠に陥らないようにするためにはそれしか方法がない。むしろこのめんどくさい行為を習慣化することによって、人よりも深い洞察力や解決力を持って、仕事にも幅が出るのは間違いない。

ここで、そういった思考を養うために役に立つ本を最近読んだ本の中から2冊ほど紹介したい。

自分のアタマで考えよう
ちきりん
ダイヤモンド社
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アルファブロガーであるちきりんさんの著書である。考えるとはそもそもどういったことを指すのかということや、どういったアプローチ方法をとればいいのかといったメソッドが書かれている。彼女のブログは常に人の意見に左右されずにゼロベースで考えられた持論を展開しているので人気がある。その思考法がつまった本である。




デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 365

本書は、いわゆる経済学書である。デフレの要因は国際競争力とかそういったものは関係なく、働いたり消費したりする年齢の人口が減ってきているからだという説を主張している。経済書としても有益であるが、僕がおすすめしたいのは結論に持って行くまでのアプローチ方法である。本書で用いられているデータは誰でも簡単に手に入るものばかりであるが、デフレの正体を人口の波で的確に説明している人は少ない。それは、単純に数字を読まずに分析もせずに空気で物事を判断しているからにほかならない。本書は正しい思考法を知るためのうってつけの本である。


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営業の問題解決スキル 斎藤 顕一

  
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営業の問題解決スキル (BBTビジネス・セレクト)
斎藤 顕一
ゴマブックス
売り上げランキング: 289149


本書は大前研一氏が運営するビジネス・ブレークスルー大学という社会人向けのMBA大学の講師を務める方の営業マンに対する問題解決スキル本である。いくつかのケース例を用いて、営業という立場からどのように顧客と自社がwinwinになるような価値提供を出来るかということが書かれてある。文庫本より少し大きいくらいのサイズで、要領を得た内容になっているので、余計なことがつらつら書かれてある分厚いハードカバー本を読むよりは、本書を読んだほうがよほど効率的である。

しかし、その解決案にたどり着くアプローチは決して新しいものとは言えないし、どこかで聞いたことがある内容ばかりだ。それなのに毎月のようにこのような本が出ては売れるというところを見ていると、言うは易く行なうは難しの世界なのだなとつくづく感じる。

例えば、「海を想像してみてください」と言われたとしよう。殆どの人は自分なりの海を想像することができるが、その程度はかなりの差がある。なんとなく静止画として海を思い浮かべる人もいれば、波の音や海の香りまで細かく頭の中で再現する人もいる。これと同じように、「顧客の抱えている問題点とそれに対して行える自社の強みを考えてみてください」と言われたところで、10秒くらい考えて答えを出す人と、1日中情報収集をしながら考える人とでは出てるく答えは自ずと変わってくるのは容易に理解できるだろう。本を読みながら考えるとなると、続きが気になるので尚更なんとなく考えて、読了した頃にはなんとなく出来るようになった気がするというのが関の山ではないだろうか。 

だからこそ強制的に考え強制的にアウトプットさせるようなビジネス・ブレークスルー大学のような所に需要があるのだし、そういった場所はより高度なアウトプットを成績として称えることで競争心を煽るようなゲーミフィケーションが確立してあるので、例えストレスを感じてでも人は頑張れるのである。 

問題解決力であれスポーツのスキルであれ、ある程度までのスキルであればそれを身につける理論は確立している。あとは飽きずに反復できるかどうかが鍵である。 そのために自分の性格や環境を加味して、どのように最短距離でスキルを身につけるかという問題解決力をまずは本書で学んでみるのもいいかもしれない。
 
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