スウェーデン・パラドックス

日本の社会保障も北欧の高福祉を見習った方がいいという話があるが、これは根本的な間違いが孕んでいる。スウェーデンが目指しているモデルは、機会の平等・負担の平等であり、日本のように高所得者を妬み貧乏人の嫉妬心を和らげるものとは違う。その裏付けとして、社会保障費等にとられる税金の税率は低所得者から高所得者までフラットになっている。

納税者の負担も、低所得者に対してもきっちり取り、高所得者には多くのメリットをもたらすように工夫されている。こういった仕組みを維持しているのは、競争社会を推進してきたからだ。日本のように正当な競争社会を新自由主義といった言葉で罵倒した挙句、セレブに憧れ、幸福度を落として「国民総下流」になっている国には、政治的にも無理なように思える。
スウェーデンの政策を見て羨ましく思えるのが、当たり前の合理的な政策を政府が中心となって推し進めているところだ。昨年は、日本でサンデルブームが沸き起ったが、これによって今までの共通善を疑い、あらたな価値観を見つけるきっかけとなってほしいものだ。