ニッポンの穴紀行 近代史を彩る光と影

穴という幅広いキーワードで書かれた本。

なぜか昔から炭鉱村が好きだった僕としては軍艦島について書かれた章が非常に面白かった。炭鉱村好きは自己分析すると、おそらく”広くて閉鎖的な空間”が好きだからなのだと思う。炭鉱村は人の流動性もないし町としてはミニチュアであるが、そのなかに商店、住居、映画館や理髪店といった町として機能するための要素が全て含まれている。今住んでいる場所でも徒歩圏内にそれらの全ての要素があるが、炭鉱村のそれとは少し違う。

炭鉱村のほうが所有という意味において各施設が近い気がするのである。僕はタワーマンションに住みたいと思っているのだが、その理由も炭鉱村に近い。ただの高層マンションに住みたいわけではなく、ジムがついていたり大浴場が付いているタワーマンションが良いのだ。それは家の近所にスーパー銭湯があるのとワケが違う。所有という概念からみると前者のほうが圧倒的に近いからである。完全に所有することは好きではない。シェアと所有の間が何とも感覚的に高揚感をもたらしてくれるのだ。

話が変わって、別の章で書かれていた国立国会図書館はぜひ一度行ってみたいと思った。大量の本を地下8Fまである建物に収納しているらしい。毎日2000点が追加される雑誌を運ぶためのベルトコンベアーがあるのだが、なんとも好奇心がそそられる。以前郵便局でバイトしていた時、そのビルにはゆうぱっくを仕分けするためのベルトコンベアがあったりハガキを仕分けする機会があったり非常に楽しい空間であったが、国立国会図書館も引けを取らない面白さであろう。

以上に書いたことに少しでも共感する部分があれば、ぜひ本書を呼んでいただきたい。なんともニッチな心の高揚感が満たされるのを感じるだろう。