捕食者なき世界

捕食者とは被食者にとってみれば、厄介者でしかない。本来は被食者である人間にとっても捕食者は「いなくなって欲しい存在」である。これについては、ヒトは食べられて進化したを読めば理解できるだろう。(ヒトは食べられて進化した 書評

しかし、実際は被食者が捕食者を支えているように捕食者が被食者を支えているのだ。サルの捕食者が存在しないまさに「楽園」と言うにふさわしい環境で、サルは現在どのように生活しているのか「第5章生態系のメルトダウン 」を読んでもらうとわかるだろう。食料である植物は毒を含むように進化し、食料が不足してしまいまさに「地獄」と変わってしまったのだ。

一度バランスが崩れた生態系はもとに戻すことが難しい。それでも、捕食者なき世界に捕食者を戻すことでその生態系を取り戻した例を本書で紹介されている。

未熟だった人間は私利私欲のために突き進んだ結果、故意とは言わないまでもその生態系を壊し、捕食者を奪ってしまったこともあった。生態系という壮大なスケールを解明し、その生態系を崩さないように務めるのがあらゆる生物の中でもっとも多くの知性を持っている我々人間に与えられた使命のように感じた一冊である。 

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