先日新たに発足された野田政権。今のところ世論は、前首相の支離滅裂な言動とは異なる野田首相の安定感に期待しているようだ。内閣支持率も50%以上を獲得している。


野田首相は自らを「どじょう」と称するように、派手さはないが泥臭く堅実で粛々と政策を実行していくことをアピールしている姿が好感を持たれているのだろう。ただ、新内閣発足当初の高支持率という状況には既視感を感じる。


おおよそ新しい首相が選ばれたときは良い面ばかりの報道が目立つものである。選ばれた首相は国民や議員からの信頼を得て選ばれているわけなので当然選ばれた理由を探るとポジティブなものばかりになる。


大切なのは発足直後の支持率よりも、その支持率をいかに維持するかということだ。また、それ以上に大切なのは長期的な視点で日本にとって有益な政策を実行していくことである。痛みを伴うような長期的な政策実行は、短期的な支持率と相関関係が薄まる可能性もあるからだ。


日本が再生するために必要な政策というのは、アゴラを含め様々な場で議論され有識者の間では大まかなコンセンサスを得ている。野田内閣に必要なのは真新しい政策提言ではなくて当たり前の政策実行であるのは言うまでもない。


その上で私が野田首相に期待したいのは、首相としてのキャラクターの確立である。


かつての長期政権であった小泉内閣では、他の政権よりはずっとましかもしれないが、実現した政策は思ったよりも多くはない。ただ、小泉元首相はその個性的なキャラクターによる言動や演説によって国全体に「将来もっと良くなる」という雰囲気をつくることに成功した。


ここ最近の歴代首相を見ていると、首相としてのカリスマ性やキャラクター性が欠如していたように思う。人間というのはよく知らない人の話を懐疑的に聞いてしまう。同じ発言でも小泉元首相と管元首相ではマスコミや国民の捉え方が変わってくるのは想像するのに難くない。


そして、今回の野田首相であるが、小泉元首相とはキャラクターは全く違うが「堅実・着実に良くなっていく」という雰囲気を作るには適任のように思える。仮に小泉という人物がの時代に出てきても、世間にはあまり受け入れられなかっただろう。


野田首相には持ち前の党内調整力で着実に政策を実行に移して、要所要所で国民やマスコミに得意の演説でアピールすることに成功すれば、小泉政権依頼の長期政権が生まれる可能性を秘めていると思う。短命政権が続き、政治に懐疑的になってしまっている日本国民を見直させる意味でも野田首相には大いに期待したい。

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