科学と人間の不協和音 (角川oneテーマ21)



本書は、原発事故をはじめとして近代における科学技術の進歩とその技術を生活に取り入れる人々との間に生じる不協和音について論じている。

今から数百年前にいた「魔女」と呼ばれる存在のものは、実は科学知識に明るかった人のことを指していたという話がある。当時にしてみれば魔女は怪しい実験をして、魔法のような技術を発明しては何か悪いことを企んでいるのだろうと人々の生活を脅かす存在であった。

時代は変われど、現代でも科学者やそれに通ずる者たちには一般的には理解出来ないことを理解しているので何かを陰謀しているのではないかというストーリーを創りだしてしまう。

原発に限っていうと、純粋な科学者たちは「安全神話」に対しても「暴走して原爆と化す」という者たちにもNoと言い続けてきた。安全神話を創りだしてきたのは研究費を出してくれる国や企業に雇われた科学者である。今のように新しい科学技術が新しい市場を生むような世の中では、科学者は金儲けのために企業から委託され、その企業にとってマイナスとなる実験結果や見解を出しにくくなっている。

国が主導権をもったとしても同様で、喉から手が出るほど欲しい研究費を出してもらうために本来の研究から逸脱してしまう可能性は高い。

科学者が純粋に研究できる環境を整えるのは非常に難しい。もちろんその費用は、将来のためとして国から出すというのが理想的だが、今後科学者は自分のしている研究がどのような成果をもたらすのかということを文化的にも説明できるようになる必要があると思われる。

ただ、去年に流行ったドラッカーのような経営手法はもはや時代遅れで 、儲けたいなら科学的知識も一般的なサラリーマンにも必要となるのが今後10年のトレンドだろう。

儲けたいなら科学なんじゃないの?
堀江貴文 成毛 眞
朝日新聞出版
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