突然だけど僕は新しいガジェットを買ったら必ず匂いを嗅いでしまう。
先日、mac miniに使うためのWireless Keyboard を買った時も思わず嗅いでいたら嫁さんに変な目で見られてしまった。

匂いの元はプラスチックなのかなんなのかはよくわからないが、懐かしいような嬉しいような気持ちがふわっと湧いてくる。

どうしてそこまでこの匂いが好きなのかというのを先日読んだ本で思い出した。
漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち


小学校だった僕には日課と呼べるものが2つあった。

それはサッカーとゲームである。

プレイステーション。それは僕にとって一日の最大の楽しみであった。

そう、プレステの匂いがあったからこそ僕の今のガジェット臭好きがあるのだ。

そうはいっても僕はいわゆるゲーマーではなかった。
やるゲームと言えば大抵サッカーゲームや野球ゲームばかり。ロールプレイングゲームは幼稚園の時にドラクエに挫折して以来、若干のトラウマになっている。

それでも毎日Ⅰ時間以上はプレイしていたので、まさに青春の一部と言えるだろう。その当時はプレステ自体の仕組みとか全然興味がなく、ソフトを入れれば動くのは至極当然のように受け入れていた。

後続機のプレステ2が出た時も当然ながら手に入れたが、結局持っているソフトはウイイレだけでDVD再生機としての利用が主だった。今ならゲーム機でなんでDVDが再生できるのかと考えてみるものだけど、 その当時は当たり前のように思えた自分の好奇心の無さは中々だと思う。

そんな青春を支えてくれたプレイステーションなのだが、やはりあの先進的で爆発的な売上を誇ったガジェットには凄まじいエンジニアの努力と天才的なリーダーの存在があった。

その天才的なリーダーは久夛良木健氏。
プレイステーションの生みの親である。

今でこそアップル製品がガジェットとして世界で最も魅力的であると支持されているが、当時はやはりSCEのプレステが魅力的であった。

アップルブームに乗って、ソニーは終わったとかそういった話が出ているのは残念な部分もあるのだが本書を読むとイノベーティブなガジェットを作り出す企業が10年単位でみると衰退してしまうのは必然のように思える。

ガジェットがヒットすると市場規模が大きくなる。そうなると関わる人が多くなってくる。当初は少ない開発者やマーケターで共有できていた夢や理念が薄れていくのだ。

この単純な論理でいくとアップルも10年後はどうなっているかわからない。イマイチのガジェットしか作れずにiTunesとApp Storeのプラットフォームだけを提供するソフト企業になる可能性は高いと思っている。

なにはともあれ、当時のSCEにはプレイステーションという未来のガジェットを作るために熱い闘いがあったことをしるだけで目頭が熱くなること間違いないだろう。