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書評

勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」

  
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前回のエントリーに続き、ゲーム関連の本を読んだ。

この本の著者は梅原大吾氏。日本で始めてプロのゲーマーとしてスポンサーがついた人である。
その人の伝説の一戦が下の動画である。




プロのゲーマーといってもあまりピンとこない人が多いだろう。僕自身も本書を手にするまではそうであった。

しかし、本書を読んでみると梅原氏がしていることはジャンルは違えど一流のビジネスパーソンやアスリートがしていることと何ら変わらないということがわかる。

自分との葛藤、反復練習、分析など勉強になる部分がたくさんある。

僕が本書で受け取った一番大きなメッセージは「できるまでやり続けること」の大切さである。

梅原氏はゲームの天才だったから世界一になれたのだろうと思うかもしれない。たしかに才能はもちろんあったと思うのだが、一時ゲームを辞めた後に3年で麻雀でプロ級の腕前を持つまでになったエピソードを聞くと、自分を高めることのうまさが彼の成功を支えていると知ることができる。

また、圧倒的な練習量は少々のブランクでは揺るがないということも重要な示唆である。

よく一流になるには1万時間を要すると言われている。
その境地に行く人というのは全体の中でも非常に限られていて、そこまでの練習量をこなすと追随する人が驚くほど少なくなるのだろう。

仕事だってそうだ。1日8時間×20日×12ヶ月やり続けたとして年間1920時間だから、5年ちょっとはかかる。ただ、仕事時間はみんなほぼ平等であるため同じようにやっていたら大差は生まれない。

コンサルなんかは、1日14時間×25日×12ヶ月で年間4200時間働いていたりする。つまり普通の人の半分くらいで1万時間に到達し、そこからも仕事をし続けるので5年働いてみると普通の会社の人とは雲泥の差が生まれてくる。そうなってくると、仕事量をこなしてきた方に仕事が集中するのは当然出会って、正のスパイラルが起きることによって、10年後くらいには普通の会社の人と同じ時間や労力で仕事しても生み出される価値が全然変わってくるのだ。

もちろん、「単純に時間をこなせばいいというものではないだろう」という意見もある。梅原氏も本書で「10年続けられるくらいの努力をすることが大切」と説いている。ただ、かといって仕事量が嘘をつくかと言われれば全く違う。

最近ではワークライフバランスを主張する若い世代の人が増え、就職できないこと嘆いているが、最前線の企業に就職してトップレベルの成績を残すにはどの道、こなしてきた仕事量勝負のようなところがあるので、考えを改めたほうがいいと思う。

僕も本書を参考にしながら「勝ち続けるため」にするべきことを自問自答して日々研磨に励んでいきたい。



漂流するソニーのDNA

  
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突然だけど僕は新しいガジェットを買ったら必ず匂いを嗅いでしまう。
先日、mac miniに使うためのWireless Keyboard を買った時も思わず嗅いでいたら嫁さんに変な目で見られてしまった。

匂いの元はプラスチックなのかなんなのかはよくわからないが、懐かしいような嬉しいような気持ちがふわっと湧いてくる。

どうしてそこまでこの匂いが好きなのかというのを先日読んだ本で思い出した。
漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち


小学校だった僕には日課と呼べるものが2つあった。

それはサッカーとゲームである。

プレイステーション。それは僕にとって一日の最大の楽しみであった。

そう、プレステの匂いがあったからこそ僕の今のガジェット臭好きがあるのだ。

そうはいっても僕はいわゆるゲーマーではなかった。
やるゲームと言えば大抵サッカーゲームや野球ゲームばかり。ロールプレイングゲームは幼稚園の時にドラクエに挫折して以来、若干のトラウマになっている。

それでも毎日Ⅰ時間以上はプレイしていたので、まさに青春の一部と言えるだろう。その当時はプレステ自体の仕組みとか全然興味がなく、ソフトを入れれば動くのは至極当然のように受け入れていた。

後続機のプレステ2が出た時も当然ながら手に入れたが、結局持っているソフトはウイイレだけでDVD再生機としての利用が主だった。今ならゲーム機でなんでDVDが再生できるのかと考えてみるものだけど、 その当時は当たり前のように思えた自分の好奇心の無さは中々だと思う。

そんな青春を支えてくれたプレイステーションなのだが、やはりあの先進的で爆発的な売上を誇ったガジェットには凄まじいエンジニアの努力と天才的なリーダーの存在があった。

その天才的なリーダーは久夛良木健氏。
プレイステーションの生みの親である。

今でこそアップル製品がガジェットとして世界で最も魅力的であると支持されているが、当時はやはりSCEのプレステが魅力的であった。

アップルブームに乗って、ソニーは終わったとかそういった話が出ているのは残念な部分もあるのだが本書を読むとイノベーティブなガジェットを作り出す企業が10年単位でみると衰退してしまうのは必然のように思える。

ガジェットがヒットすると市場規模が大きくなる。そうなると関わる人が多くなってくる。当初は少ない開発者やマーケターで共有できていた夢や理念が薄れていくのだ。

この単純な論理でいくとアップルも10年後はどうなっているかわからない。イマイチのガジェットしか作れずにiTunesとApp Storeのプラットフォームだけを提供するソフト企業になる可能性は高いと思っている。

なにはともあれ、当時のSCEにはプレイステーションという未来のガジェットを作るために熱い闘いがあったことをしるだけで目頭が熱くなること間違いないだろう。

ドキュメント サラリーマン -書評-

  
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以前参加した「ビジネス書ぶったぎりナイト」で紹介された本を一つずつ書評すると宣言して早数ヶ月。
『ビジネス書ぶった斬りナイト』で紹介された金持ちになるための本20選

ようやくその中の一冊を読みました。

まずはじめに手にとったのが
ドキュメント サラリーマン (新潮文庫)

初版は昭和59年で僕がまだ生まれていない非常に昔の本です。

たまにこういった古い本を読むことがあるのですが、毎回思うのは「今と大して変わらないな」ということです。

もちろん当時と今では仕事の内容や仕方や仕組みなどは劇的に変わっているのかもしれませんが、そこに関わるのはあくまでも人間であって、感情的な部分というのは今後十数年後も基本的には変わらないのだなと思います。

本書で紹介されているサラリーマンのように、自分の仕事に疑問を持ったり昇進に疲れて体調を壊したりという人は現在でも同じようにいます。時代が変われど同じような悩みを持つ人が存在し続けるということは、当時と今とで変わったものではその悩みを解決するには至らないということを教えてくれています。

PCのメモリが強力になったところで、余暇が増えるわけではないし職場でのストレスを減らす要因にはなりませんし、ウォーターフォール型の開発手法からアジャイル開発に切り替えたところで昇進しやすくなるわけでもありません。

新しい働き方でも同様です。ノマドになったからってサラリーマンより自由になれるかというとそうではなくて、大半の人はワープア一直線だったりします。

結局、社会で働いている以上悩みが発生するのはやむを得ず、それをすべてクリアすることは困難であるのでしょう。そこで大事なのは悩みとの付き合い方であったり、逃げ方であったりすると思います。わずか数十年ではありますが、悩みの対処法はどういったものが効果があってどういったものが効果がないのかというとても貴重な歴史的資料の一つが本書であると思います。

まずは自分の中での優先順位を決定し、それを優先することで発生する新たな悩みや結果を自分なりに考えて実践に移す。そんな大切なアクションに一役買ってくれる本ではないでしょうか。

ドキュメント サラリーマン (新潮文庫)

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僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる   松井博

  
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アップルは現在において、世界一と呼ぶにふさわしい企業である。

製品の人気もそうであるし、多くの人が憧れを持ち注目している。

アップルで働く人たちは、まさに”ど”がつくほど優秀であるというのは想像に難くないが、一体どのように優秀なのかと言われるとあまりピンとこない。

コミュ力、知識、教養、行動力、創造力等、優秀に必要な条件というのは様々あるのだがそれを具体化して、どのようにその力があってどのようにその力を使って仕事することで他の人よりも優秀に仕事が出来るかということはあまり理解されていない。
 
その一端を垣間見ることができるのが本書である。

しかも著者はその”ど”優秀な社員を束ねる管理職であった人間なので、その信ぴょう性は非常に高い。ただ、優秀な人というのは何でも一発でこなしてしまうという印象を持ってしまいがちなのだが、本書を読む限りいくら優秀でも大切なのはトライアンドエラーを繰り返し努力をすることであるというのが垣間見ることが出来る。

もう少し早めに読んでおけばよかったなとちょっとだけ後悔した。

責任者が出てきてくれたので、次はプログラマが登場してくれることを密かに期待している。

僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)
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情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦

  
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よくあるサクセスストーリーなのだろうと思いながら本書を手にとった。

しかし、書かれている内容は(闘牛士にとっては)小さな成功と大きな失敗をかなりの時間軸の中で繰り返す著者がいた。

数年で株式上場したとか、そういったサクセスストーリが出回っている昨今においては珍しい作品かもしれない。

僕の闘牛に対する予備知識といえばスペインで有名な牛を相手にするところを娯楽として観覧するといったことだけである。しかし、その予備知識は実際の闘牛とは少し違っていた。

闘牛とはスポーツであり伝統であり牛に対する敬意を表すものなのだ。

私が驚いたのは、闘牛に使う牛はムレタ(赤い布のやつ)と人間をすぐに判別できるようになってしまうため1回の闘牛にしか使えず、それゆえに最後に剣で殺すということだ。

牛と真正面から戦う姿は美しい。そして、最後に敬意を持って牛を殺すという姿はもっと美しいではないか。

ぜひとも夏休み読む本に選んでみてはいかがだろうか。

情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦
濃野 平
講談社
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