人は動物界で強い存在か?この問いに明確に答えることはできない。
なぜなら、人が地球を支配し、他の動物とは明らかに違う(と思っている)知的活動が可能な一方で、動物と距離の近い地域で生活している人々は、常に捕食されるリスクを意識しているからである。
人は実に様々な種類の動物から捕食する対象リストに上がっている。そして、それに抵抗する術を身体的なスペックの中に持ち合わせていない。ただひとつ、脳を除けば。
まさにヒトは食べられる生きものだからこそ、進化したのだ。
動物の進化する機能は、”捕食されない”もしくは、”種を絶滅させない”ために備わっている。
このことを前提に考えてみると、人が捕食者のあふれる自然界を壊し続けているのは宿命のような気にさえなってくる。それも言わば自然界のバランスなのではなかろうか。このまま自然を壊し続けると、人の生活にも様々な弊害が出てくる。変化してしまった環境の中で人という動物が適正量に減少することもあるだろうし、自然を再生するという行動を選択するかもしれない(現在は後者の傾向が強い)。人が自然を壊す事は不可能で、その絶妙なバランスの中でしか存在できないと考えると、自然の偉大さを改めて認識させられる。
現在、「自衛隊は暴力装置」といった発言が、波紋を呼んでいる。自衛隊は暴力という権力を国民から集めた組織であるし、発言は事実を捉えていると思う。高貴な理由をつけて暴力装置という事実を否定するのは愚の骨頂だ。動物である以上、暴力は生きるすべであり、暴力から身を守るために暴力を必要とすることがある。ヒトは人である前に動物であるということを本書を読んで勉強してほしい。