リナックスの生みの親、リーナスの半生を描いた読み物。いかにして天才が生まれリナックスを作っていったのかという過程が描かれている。半生を描いた自叙伝はたいていの場合冗長的でつまらないものであるが、本書はさらりと読めてしまう。さすがにコンピュータ全般に対して最低限の知識がないとチンプンカンプンになってしまうかもしれないが、そこまで専門的知識は必要ない。
リナックスがオープンソースなのはなぜか。それはタイトルどおりリーナスにとってそれが楽しかったからに他ならない。行為の第一目的が対価を得ることではないというのが重要である。フリーが流行ったせい(おかげ)でウェブ系の多くのものは無料になってきた。その先駆けがリナックスであったが、最近のフリーの傾向はビジネス化しすぎてあまり節操がない。リナックス等の本来のフリーとは区別するべきだと僕は思う。個人が個人のために楽しみを追求した結果のフリーは美しい。もちろんGREEのようにフリーで集客してアイテム等の課金でマネタイズしていくビジネスモデルは秀逸ではあるが、それは厳密にはフリーではない。
自分のやりたいことを突き詰めたリーナスの素晴らしい半生をぜひ本書で楽しんでいただきたい。