ITコンサルジャンキー

ITコンサルが日々感じたことをネタにしたりしてます

2012年01月

旅の極意、人生の極意 大前研一

  
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仕事もできてプライベートの遊びも満喫し、やりたいことを全て成し遂げるという素晴らしいバイタリティをお持ちの大前さんの、趣味である「旅」にフォーカスした本である。学生時代から旅行ガイドとしての経験を持っている大前さんらしく、旅のプロデュースはなかなか魅力的であり、あまり海外に出かけない僕としては非常に興味がそそられた。メインである旅行プランの提案も素晴らしかったのだが、一番刺激を受けたのは、冒頭で説明している旅行ガイド時代の大前さんの話である。

学生時代ブラスバンド部だった大前さんは、プロが使うようなクラリネットが欲しくなりバイトをして買おうと考える。大卒の初任給が1万円の時代に、トータルで14万円もするクラリネットを手に入れるために仕事として選んだのは当時、給料が破格に良かった「通訳案内業」であった。添乗員に必要な「通訳案内業」の資格を史上最年少で取得した後、アルバイトとして働くようになった。彼のガイドは非常に評判で、給料の他に客からチップもたくさんもらうようになり多い月は月収が20万を超えていたという。そんなわけで余裕でクラリネットを購入して、さらにはブルーバードの新車まで学生時代に手に入れた。

やはり伝説のコンサルタントとしての片鱗をすでにアルバイト時代から見せていた大前さん。どのように通訳案内業として評判を上げて行ったのか詳しくは本書を読んで欲しいのだが、やはり一番重要なのはチップを弾みたくなるほど満足させるということに尽きている。そのための工夫をたくさん凝らして、実績をあげていったのだろう。

職種によってはお金を払ってくれるお客と直接接点がないものも多い。プログラマもフリーでやっている人と会社で受託開発を行っている人とでは全く違う。ただ、世の中の流れとして組織よりも個人で活躍できる機会が増えていき、バックエンドは単純労働化されフロントエンドに立たない限り稼ぐということは難しくなってきている傾向にある。

お客を喜ばすために工夫を惜しみなくする大切さと、フロントエンドに立つ大切さ、両方を痛感した一冊であった。

旅の極意、人生の極意
大前 研一
講談社
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短期で目標達成したいなら後方連環を意識せよ

  
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ある目標を達成しようとしたとき、どうしても早く達成できる人となかなか達成できない人ができてしまいます。学生時代のテスト勉強を思い返してみると、少しだけ勉強しただけでいい点を取れる人もいれば、長時間勉強をしたにもかかわらず点数が伸びないという人もいたかと思います。もちろんその差が出るのは才能であったり積み重ねてきた経験だったりするのですが、目標達成のための方法論の間違いに原因があることも少なくありません。

端的に言うと、目標達成を最小の努力で出来る人は”後方連環”で努力しているのに対して、効率の悪い人はどうしても”前方連環”で努力をしてしまっているのです。

では、この前方連環とか後方連環というのは具体的にどういうことを指すのか説明したいと思います。以下の例は全て僕が考えたものではなく、あとで紹介する本の中でいくつか書かれていたものです。

例えばある発展途上国が2カ国あったとします。両国とも国の発展をするべく、農作物主体の産業から工業化へ移行したいと考えたとします。一方の国は工業化に絶対必要な材料は鉄だと考えて製鉄所を作りました。そして鉄を作れるようになってから自動車工場や機械を作る工場を作っていこうと考えました。もう一方の国はいきなり自動車工場を作ったりしました。

そして10年後、実際にうまく工業化を勧めることができたのはどちらの国でしょうか。

それは殆どの場合、いきなり自動車工場を作った後者の国になります。この事実は歴史的にも証明されているのです。

それではなぜ後者のほうがうまくいくのでしょうか。 

それは、鉄よりも自動車の方が消費財として需要が大きいからです。需要が大きいということはそれだけ儲けがでます。儲けが出るとさらに工場を機械化したり、新しい分野に投資ができるので国として発展していけるというわけです。

以上の原理は、企業や個人的な目標達成の道筋として非常に役に立ちます。例えばテスト勉強で考えた場合、片っぱしから英単語を覚えていくよりもいきなり過去問を解いたほうが効率が良いのはおわかりになると思います。過去問を先に解いたほうが、そのテストに必要な知識であったり、自分に足りない物がわかります。あとは足りない部分を補うように勉強していけばいいだけです。つまり後方から前方に遡っていくほうが、前方の無駄を省くことが出来るのです。

こういった話は意外と理解しているようで実際には行動に移せていない人が多いという印象です。

よく「iPhoneアプリを作りたいので今はObjective-Cを勉強しています」という人がいますが、これは前方連環の悪い例です。いくら入門書をみてループの書き方とか条件分岐の仕方を覚えようと思っても頭に入ってきづらい上に、アプリの内容によっては不要なロジックを覚えるために余計な時間を使ってしまったりします。もちろん基本中の基本は抑えておくべきかもしれないが、まずやることは何を作りたいのか明確にして、モックアップをつくってしまうことです。そこからプログラムに落としていく過程でわからない部分を調べていけばいいのです。こうしたほうが実践で覚えていけるので記憶にも定着しやすい。

行動は成果に結びついてこそ正当化されるものなので、どうも努力のわりに成果に結びついていないと感じている人は一度、前方連環に陥っていないかチェックしてみると良いかもしれません。

参考文献:
経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)
佐藤 雅彦 竹中 平蔵
日本経済新聞社
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日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか

  
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貸していた本が戻ってきたので久しぶりに読み返してみたのだが、今話題になっている社会保障と税の一体改革のことについて理解しやすくなると思ったので紹介。

日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか
竹中 平蔵 池田 信夫 土居 丈朗 鈴木 亘
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 毎年何もしなくても1.2兆円自然増していく社会保障費を賄っていくには大規模な増税が必要なのは言うまでもない。そこで必要なのは税収増に全く寄与しない所得税の最高税率の引き上げや法人税の引き上げではなく、消費税の引き上げである。野田政権は消費税10%案を出しているが実際その程度でプライマリーバランスを黒にするのは不可能で少しだけ財政崩壊する時間が延命される程度である。

はっきり言って日本経済はほとんど詰んでると思っている。現状からドラスティックな変化を遂げるには所得税・法人税を他国並に下げ、消費税を15%程度にあげること。そして年金制度を一度崩壊させるもしくは、年金というのは年寄りの生活費ではなくあくまでも”生活補助費”であるという本来の意義を改めて説明して高齢者への負担増をお願いして世代間格差を縮小させること。特定の分野への成長戦略は一切なくして経済成長は市場に委ねることである。

細かな経済学的なことや政治学的なことを考慮しなければ、本当に以上の政策しか必要ではないのである。しかもそれがほとんどの識者や政治家のコンセンサスにも関わらず、何一つ改善されないのが現状だ。

今年はアメリカ大統領選挙を始め、中国の国家主席が変わったり、ロシア・フランスの大統領選挙があったりと世界のトップが一気に変わる重要な年である。そんな中ただでさえ衰退国になりつつある日本が世界でリーダーシップをとれないような立場に一気に追い込まれる可能性もあると僕は感じている。

当たり前の政策ができない日本に対して、政府や企業が呆れてしまって完全なる衰退国になってしまい財政赤字がデフォルトを起こさないことを願うばかりである。

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