筆者は、電子書籍という言葉を聞くたびにどこかに違和感を感じてきた。 それでもiphoneアプリで小飼弾ホリエモンの本を読んだり、ブックスキャンのプレミアム会員になって所有している多くの本をPDF化してipadで読んでいる。世間一般的には、電子書籍の波に乗っている部類に属するだろう。 しかし、それらは目にする活字のパーセンテージとしては、決して多くはない。大半を占めるのが普通の本とRSSリーダで読むWebブラウザ上のものである。 現在の日本において電子書籍は普通の本とWebブラウザ上の活字の間に位置する存在のようにも思えるが、実際は、”どちらの中間にも収まらない微妙な存在”であると思っている。なぜならアメリカのように電子書籍の流通が整備されているわけでもない。加えて、積極的に電子書籍を活用しているのが、大量の本を所有して不動産コストが嵩んでいる一部の知識層だけである。 一般的な人は、ハードである電子書籍リーダーのコストとソフトである書籍の読書量が見合わない関係にあると言える。本を月に10冊読む人は少ないかもしれないが、それに相当する活字量をWebブラウザ上のニュースやブログ、Twitterで読む人となると結構いるのではないだろうか。 これらのことを考えると、わざわざ別のリーダーを必要とした電子書籍よりも、メルマガに近い活字情報の方が日本では流行る。磯崎さんのメルマガはメールの中にurlが書かれていて、そこにアクセスして読むと言うスタイルである。 Webブラウザ上で読めば、わざわざディスプレイ上で、本物の本のようにページめくりする手間も省ける。(ページめくりこそが電子書籍にとっては胆なのだけれども) 電子書籍の規格を統一にするより、このような形で活字ビジネスを定着させなければ、音楽のような違法ダウンロードが一般化され、書籍業界は大きな打撃を受けるかもしれない。