鉄が地球温暖化を防ぐ

地球温暖化を防ぐためにもっとも簡単かつ実践的な方法である。なにせ鉄を海に入れるだけで海藻が育ち二酸化炭素を吸収して固定化してくれるのだから。

本書では、鉄がどのような仕組みで地球温暖化を防ぐのかが書かれている。一見難しそうな内容だがあまり専門的な用語を使わずに説明されているので非常に分かりやすい。

僕は、「鉄理論=地球と生命の奇跡」の方を先に読んだのだが、本書を先に読んだほうが理解が早いと思う。

鉄が地球温暖化を防ぐという論理は非常に明快だ。まず、前提として海洋植物は地上の植物と同じくらい二酸化炭素を光合成によって酸素に変えてくれる力を持っている。つまり植物を増やすと二酸化炭素の減少に役立つと同様に海洋植物を増やすことで二酸化炭素を減少し地球温暖化を防ぐことができるのだ。

それではなぜ鉄なのか。海洋植物の栄養素としてリンや窒素が挙げられるが、そもそも先に鉄分を取り入れておかなければリンや窒素を取り込めない構造になっているのだ。そして海藻などの海洋植物が育たない理由はリンや窒素の不足よりも鉄分不足に起因している場合が多々ある。

興味深いのは本書でも説明されている「関空パラドックス」である。関空の建設は地域住民から環境破壊になるのではという反対意見が多かったのだが、蓋を開けてみると関空周辺には以前にはなかった海藻類が多くできるようになったのだ。その要因は関空の土台に使われた鉄であるというのだ。

僕は地上の植物を増やすよりも人工的に鉄を海中に入れることで海洋植物を増やすほうが容易であると思う。アメリカの思案で京都議定書を結ばされ、鳩山元首相の出血大サービスで2020年までに二酸化炭素の割合を25%減らすこととなっている日本としては、排出量削減には寄与しないが国家政策としてまずはスチール缶を海にばらまくことから始めてみると良いかもしれない。 

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