ある目標を達成しようとしたとき、どうしても早く達成できる人となかなか達成できない人ができてしまいます。学生時代のテスト勉強を思い返してみると、少しだけ勉強しただけでいい点を取れる人もいれば、長時間勉強をしたにもかかわらず点数が伸びないという人もいたかと思います。もちろんその差が出るのは才能であったり積み重ねてきた経験だったりするのですが、目標達成のための方法論の間違いに原因があることも少なくありません。

端的に言うと、目標達成を最小の努力で出来る人は”後方連環”で努力しているのに対して、効率の悪い人はどうしても”前方連環”で努力をしてしまっているのです。

では、この前方連環とか後方連環というのは具体的にどういうことを指すのか説明したいと思います。以下の例は全て僕が考えたものではなく、あとで紹介する本の中でいくつか書かれていたものです。

例えばある発展途上国が2カ国あったとします。両国とも国の発展をするべく、農作物主体の産業から工業化へ移行したいと考えたとします。一方の国は工業化に絶対必要な材料は鉄だと考えて製鉄所を作りました。そして鉄を作れるようになってから自動車工場や機械を作る工場を作っていこうと考えました。もう一方の国はいきなり自動車工場を作ったりしました。

そして10年後、実際にうまく工業化を勧めることができたのはどちらの国でしょうか。

それは殆どの場合、いきなり自動車工場を作った後者の国になります。この事実は歴史的にも証明されているのです。

それではなぜ後者のほうがうまくいくのでしょうか。 

それは、鉄よりも自動車の方が消費財として需要が大きいからです。需要が大きいということはそれだけ儲けがでます。儲けが出るとさらに工場を機械化したり、新しい分野に投資ができるので国として発展していけるというわけです。

以上の原理は、企業や個人的な目標達成の道筋として非常に役に立ちます。例えばテスト勉強で考えた場合、片っぱしから英単語を覚えていくよりもいきなり過去問を解いたほうが効率が良いのはおわかりになると思います。過去問を先に解いたほうが、そのテストに必要な知識であったり、自分に足りない物がわかります。あとは足りない部分を補うように勉強していけばいいだけです。つまり後方から前方に遡っていくほうが、前方の無駄を省くことが出来るのです。

こういった話は意外と理解しているようで実際には行動に移せていない人が多いという印象です。

よく「iPhoneアプリを作りたいので今はObjective-Cを勉強しています」という人がいますが、これは前方連環の悪い例です。いくら入門書をみてループの書き方とか条件分岐の仕方を覚えようと思っても頭に入ってきづらい上に、アプリの内容によっては不要なロジックを覚えるために余計な時間を使ってしまったりします。もちろん基本中の基本は抑えておくべきかもしれないが、まずやることは何を作りたいのか明確にして、モックアップをつくってしまうことです。そこからプログラムに落としていく過程でわからない部分を調べていけばいいのです。こうしたほうが実践で覚えていけるので記憶にも定着しやすい。

行動は成果に結びついてこそ正当化されるものなので、どうも努力のわりに成果に結びついていないと感じている人は一度、前方連環に陥っていないかチェックしてみると良いかもしれません。

参考文献:
経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)
佐藤 雅彦 竹中 平蔵
日本経済新聞社
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