営業の問題解決スキル (BBTビジネス・セレクト)
斎藤 顕一
ゴマブックス
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本書は大前研一氏が運営するビジネス・ブレークスルー大学という社会人向けのMBA大学の講師を務める方の営業マンに対する問題解決スキル本である。いくつかのケース例を用いて、営業という立場からどのように顧客と自社がwinwinになるような価値提供を出来るかということが書かれてある。文庫本より少し大きいくらいのサイズで、要領を得た内容になっているので、余計なことがつらつら書かれてある分厚いハードカバー本を読むよりは、本書を読んだほうがよほど効率的である。

しかし、その解決案にたどり着くアプローチは決して新しいものとは言えないし、どこかで聞いたことがある内容ばかりだ。それなのに毎月のようにこのような本が出ては売れるというところを見ていると、言うは易く行なうは難しの世界なのだなとつくづく感じる。

例えば、「海を想像してみてください」と言われたとしよう。殆どの人は自分なりの海を想像することができるが、その程度はかなりの差がある。なんとなく静止画として海を思い浮かべる人もいれば、波の音や海の香りまで細かく頭の中で再現する人もいる。これと同じように、「顧客の抱えている問題点とそれに対して行える自社の強みを考えてみてください」と言われたところで、10秒くらい考えて答えを出す人と、1日中情報収集をしながら考える人とでは出てるく答えは自ずと変わってくるのは容易に理解できるだろう。本を読みながら考えるとなると、続きが気になるので尚更なんとなく考えて、読了した頃にはなんとなく出来るようになった気がするというのが関の山ではないだろうか。 

だからこそ強制的に考え強制的にアウトプットさせるようなビジネス・ブレークスルー大学のような所に需要があるのだし、そういった場所はより高度なアウトプットを成績として称えることで競争心を煽るようなゲーミフィケーションが確立してあるので、例えストレスを感じてでも人は頑張れるのである。 

問題解決力であれスポーツのスキルであれ、ある程度までのスキルであればそれを身につける理論は確立している。あとは飽きずに反復できるかどうかが鍵である。 そのために自分の性格や環境を加味して、どのように最短距離でスキルを身につけるかという問題解決力をまずは本書で学んでみるのもいいかもしれない。
 
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